豊岡市福田で、今年「コウノトリ育む農法」により作られたもち米が収穫されました。ここまでの道のりは大変なものでした。まず、福田の田んぼは弊社会長が買い取るまで、コウノトリの最後の餌場になっていた肥沃な田んぼでした。しかし、なぜ餌場になっていたかというと、水害の多い場所でもあったからなのです。
コウノトリとのつながりは、ボクが鳥を観察しだした11歳の頃までさかのぼります。当時、すでに豊岡には野生のコウノトリはいませんでしたが、友人と共に自転車で豊岡のあちこちに野鳥観察に出かけておりました。いつしか、鳥の姿を少し見るだけで、あるいは、声を少し聞くだけで、あらかたの鳥の種類を判別することができるまでになりました。
ある日、声がかかり、今日のコウノトリの野生復帰の下調べであるサギの生態調査を、三田市の人と自然の博物館のスタッフと但馬野鳥の会の皆さんと共に、地道におこなってきておりました。今では、その活動は語られることは無くなりましたが、大変骨の折れる調査でした。今は、ボクは「コウノトリ市民研究所」の主任研究員をさせていただいております。本当に僅かばかりのお手伝いしかしておりませんが、コウノトリの野生復帰だけでなく、自然の動植物に興味を持ち続けています。
自然に近い農法を行っている田んぼや、自然環境によりサギの集まる田んぼはありましたので、今日の田んぼは、より昔に近い環境に戻っていることは実感することが出来ます。鳥たちにとって良い環境というのは、そこに棲む生き物たちの層が厚い田んぼということにもなります。生き物の層が厚いと、有機物の分解能力が高いので、そこに育つお米もミネラルたっぷりの美味しいお米になります。
今回、そのお米を使って、おかきとお餅を造ることにしました。品物を見ていただきながら、その裏にある物語を思い浮かべながらご賞味いただければと思います。
もう少しエイジングさせて、もち米が硬めになってから製造したいと思います。