ボクが小学校に通う前の事だったと思う。
家から会社まで、よく歩いて遊びに行った。
田んぼの中にある家から、田んぼの中にある会社への道中、
田んぼの中にはタニシがたくさんいた。小さなタニシだった。
溝には、フナやナマズの稚魚がたくさんおよいでいた。
昔は生き物の姿が濃い田んぼだった。
小学校に通いだして、遠足があった時、友達同士でお弁当の
おむすびを交換して食べていた。
家によって、お米の味が違っていたけれど、どれもお米の味が
濃厚で美味しかった。お腹が減っていたこともあるけれど、やはり
今のお米とは味が違っていたように思う。
今は生き物の姿が薄い田んぼだ。
「コウノトリ育む農法」がさかんに行われるようになった豊岡。
けれど、まだ生き物の姿は薄い。
今まで上から指導されて、農薬や化学肥料をたくさんまいてきた田んぼは
急には生き物だらけの昔ながらの田んぼになってくれない。
時間をかけて、農家の人にも土にも無理がかからないようにしていかなければ、
あの昔のような美味しいお米は口に出来ないのだろうと思う。
豊岡のお米は、まだブランドが先走りしているようで中身がついていっていないと
人は言っている。上の指導をよしとしなかった頑固な農家さんのお米の方が
断然美味しい。特に、山間地で作る「我が家の食べ量」のお米が一番美味しい。
15年ほど前、伊賀谷で稲の収穫をしている一家を見てたら、
誰もがキャッキャッ言って楽しんで稲を稲木に干していた。
美味しいお米を期待しながら収穫するのは、本当に楽しいと思う。
これからの日本も、そんな風景が蘇ってくれたらと思うが、現実はきびしい・・・。